PROJECTShouse with path辻の群居

上諏訪の旧街道よりさらに細い路地をのぼった一角にこの家はあります。 明治時代からの内(ウチ)蔵を持つお宅の建て替え計画です。 その蔵を保存再生し、家族の新たな生活の場を どのように蔵と接続させるか、というこの地方特有の条件のもと、設計を進めていきました。 家族の諸要望や、法的解釈などを考慮、検討しながら小さな集落の様な3つの分棟案を提案しました。 その3棟の隙間は土間によって接続します。 それは周辺の細い路地が、家の中まで連続していく「辻」のイメージです。 古来日本には縁側や路地に人が集まり、交流する場としてありました。 この家も家族や友人達が気軽に集まれる路地や辻のような場所が中心となり、日常の生活や風景が連続、展開していく事を期待して設計しました。 家族同士でも距離感を保ちながらも、気配を感じる事ができます。 近隣の方も家まで上がらず、この縁側のような土間で談笑する事もできるでしょう。 この家は、ウチ~「辻」~ソトが曖昧に交差しながら、行き来するだけではない「辻」という交流の場を通し、それぞれの時間や空間を自由に巡る事ができる場として、これから新たにこの家の中心となり、歴史や集落を紡いでいく事を願っています。

施工
2021年
場所
長野県 諏訪市
敷地面積
269.78 m2
延床面積
170.71 m2
構造
木造在来
規模
2階建て
施工会社
(有)橋詰建設
撮影
Hiroshi Ueda